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遺言に書いたことを実現するためには
  〜本当に遺言どおりになるのか?〜

  遺言書の力をフル活用するのところでも少し述べましたが、遺言を作った人が一番心配するとこ
  ろがこの部分です。

  「遺言を作ったはいいが、果たしてこの遺言は実現されるのか?」ということ。

  その実現性を確保するための方策の一つが「遺言執行者」というものです。

  遺言は一般的に相続人間の利益が相反する場合が多いものです。

  そういう場合、遺言の執行(遺言内容の実現)を相続人任せにしてしまうと、その通り執行されな
  かったり、よしんば執行されたとしても公正さを欠いたり、それが元で執行後に争いが起こったり
  することもないとは言い切れません。

  そういう事態を避けるために必要なのが中立的第三者たる遺言執行者の存在です。

  遺言執行者は、遺言者の意思にそって遺言の内容を実現するために行動します。

  ※遺言執行者にしかできないことがある

  財産をどうするか、ということについては遺言執行者ナシでも進めることはできます。
  (あまりやって欲しくはありませんが……)

  しかし遺言の内容によっては、遺言執行者にしかできないこともあります。

  それは、認知と相続人の廃除、そして廃除の取消。

  この3つは、遺言執行者でなければできません。

  ※遺言執行者はどう選ぶ

  さて、この遺言内容実現の強い味方である遺言者執行者は、どうやって選べばいいのでしょう?

  法律的な選任・指定の方法3つあります。

  ・遺言による指定

    遺言の中で遺言執行者をあらかじめ指定しておく方法です。

    ある意味一番シンプルで面倒のない方法かもしれません。

  ・遺言による指定の委託

    ちょっと難しい表現ですね。

    かいつまんでいうと、「遺言執行者そのものを指定するのではなく、遺言執行者を指定する
    人を指定する」ということです。

    ますます分かりにくいですか?

    例えば遺言の中に

    「私(遺言者)の弟である○○は、私の死後速やかに遺言執行者を指定するものとする」

    といった一文を入れて、遺言執行者の指定を信頼できる第三者に任せてしまうという方
    法です。

  ・家庭裁判所による選任

    遺言の中に指定も指定の委託もされていなかった場合は、「遺言執行者選任の申立」を
    家庭裁判所に起こして、家庭裁判所に選任してもらうことになります。

    またたとえ遺言の中に指定や指定の委託の記載があったとしても、指定された者が遺言
    執行者になることを拒んだり、指定を委託されたものが指定しなかったりした場合は、相続
    人は、家庭裁判所に選任を申し立てることができます。

    なお、選任の申立に際しては、候補者となる者を推薦できます。

  と、ここまでは、言ってみれば教科書的な法的手続きの話。

  遺言を残す人にとって一番関心があるのは、「誰を遺言執行者にするか」ということでしょう。

  一つには、遺言を残す人が信頼できる人物であるということ。

  もう一つには、法律的、経済的な専門知識を有する人であること。

  遺言執行には専門知識が必要になる場面が多々ありますから、後者を優先して前者を補足的
  に満たす人を選ぶというのが、遺言執行を上手に進めるコツでしょう。

  ※遺言執行者の大きな権限と大きな責任

  遺言執行者は「遺言内容の実現」という目的を達成するために、大きな権限を持ちます。

  例えば
    ・遺産分配の執行
    ・(遺贈がある場合)受贈者への財産の引渡し
    ・相続財産の管理
    ・認知の手続、相続人の廃除及び廃除の取消の申立
    ・財団法人の設立(遺言に財団の設立があった場合)
  などです。

  そして、相続人は遺言執行者が行うこれらの行為を妨害してはならないことになっていますし、
  妨害した場合、その妨害によって行われた行為は無効になります。

  このような大きな権限を持つ一方で、大きな責任も持ちます。

  相続人から訴えられたり、逆に相続人を訴えたりして裁判所で争うことになる場合もあります。

  また、遺言の執行に故意過失があった場合には、損害賠償責任を負うことにもなります。

  形式的に遺言の内容を実行するだけではない、大きな責任を伴うのが遺言執行者なのです。

  それだけに、遺言執行者を指定することによって、遺言の実現性が確保されるのです。
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