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    札幌支部所属

〒065-0011
札幌市東区北11条東11丁目
        3番7号
  KSハイツ北11条101号

吉田行政書士事務所

相続・遺言サポートセンター

TEL/FAX:
 
011−753−8601
E-MAIL:
m-yoshida@mbn.nifty.com

遺産相続がもめるポイント

相続がもめる具体的ないくつかの理由

  旧民法と違って現行の民法では、家督相続(長男が全てを相続すること)を認めていません。

  さらに民法には私的自治の原則といって、自分たちのことは自分たちで決めなさい、最低限守るべきことだけ規定し
  ますよ、という精神があります。

  この二つの原則が相続をもめさせる最大の原因だと思うのですが、それをいっても始まりません。
  そういう原則的なことではなくて、相続がもめる具体的な原因がいくつかあります。

・遺留分をめぐる問題

  遺留分とは、相続の最低保障であり相続放棄や相続廃除、相続欠格の三つのうちどれかが適用されない限り、
  相続人にとって侵すべからざる権利です。

  遺言や遺産分割協議で異なる定めをしても、この分だけは堂々と請求することができます。

  ここで注意しなければならないのは、兄弟姉妹には遺留分はありません

  したがって、子がいない被相続人が、「配偶者に遺産を全部残す」と遺言すれば、たとえ兄弟姉妹がいても(多くの
  場合は甥姪の代の話になるようですが)全額配偶者が相続することが可能になります。

  ではなぜ問題になるのか。

  相続人、被相続人の双方が遺留分に関して情報や知識が不足しているからだと考えられます。

  そのため、遺留分を侵害するような遺言や分割をしてしまって、後でもめるのです。
  ある程度情報があれば、最初から遺留分について考慮した遺言なり協議ができるのでそれ程もめないのではない
  でしょうか?

  ちなみに遺留分は請求しないと貰えません。
  遺留分の侵害の事実を知ってから一年、被相続人の死亡から十年が遺留分請求のタイムリミットです。
 
 遺留分の計算例
   相続財産額6000万円 配偶者 子1 子2とする
     配偶者・・・・・・・・6000万円×1/2×1/2=1500万円
       子1・・・・・・・・6000万円×1/2×1/2×1/2=750万円
       子2・・・・・・・・6000万円×1/2×1/2×1/2=750万円
 ※太字の金額が遺留分となり、最低限保障される
 
・不可分財産をめぐる問題

  現預金や有価証券のように、容易に分けられる財産だけならそれほど大きな問題は生じないでしょう。

  しかし現在、相続財産の多くは不動産です。確かに書類上(登記上)は分割して所有することも可能ですがあまり
  にも細かく分けてしまうと、財産としての価値が減じてしまう可能性があります。

  無体財産権なども不可分ですし、美術品や貴金属なども同様です。

  このような不可分財産をどうするのか、遺産分割に際してどう分割するのかが、争いになる一つの原因です。

  対策としては、遺言による指定や、換価分割、代償分割などが考えられます。

・事業承継をめぐる問題

  事業承継というのも一つの問題になります。

  ある程度の規模以上の法人組織であれば、個人の入り込む余地が少なくなるので割とスムーズに移行しますが、
  個人事業や、法人組織でもそれに近い同族企業やワンマン経営の場合にはちょっと苦労するかもしれません。

  誰がその事業を継ぐのかといった後継者の問題から、事業を継いだ者はそれだけ多くの財産を相続することになる
  ので、代償分割にかかわる財産的能力も問題になります。

 
※事業承継対策の一例

  後継者については、早い段階で決めておき権限の委譲や名義変更などを済ませておけばある程度安心できます。

  代償分割にかかわる財産的能力の担保に関しては、生命保険を利用するというのも一つの方策でしょう。
 
  生命保険金は契約に基づいて支払われるものであり、税務上はともかく相続上は相続財産にはなりません。
  
  したがって、後継 者を決定した段階で、後継者を受取人にした生命保険の契約をし代償分割用の原資を確保す
  るということも考えられます。

  また、個人事業を法人化して事業用の財産を法人の所有にしてしまうという手もありますが、農業など法人化が難
  しい業種では、やはり別の方策 を考えておくべきでしょう。

・「人」をめぐる問題

  これまでは、財産をめぐる問題でしたが、他にも「人」をめぐる問題があります。

  核家族化が進み、家族関係が徐々に希薄になる中では、実はこの問題が最も大きいのかもしれません。
  
  また、離婚の増加などで家族関係そのものが複雑になっていることも否めません。

  実子と養子の関係、認知をめぐる問題、欠格や廃除の問題、潜在的利害関係人(本来相続権を持たないが、
  相続について影響力を持つ、又は持とうとする者。例えば、被相続人の兄弟姉妹、子の配偶者等)の問題など、
  様々な問題が生じる可能性が出てきます。

・特別受益と寄与分をめぐる問題

  被相続人が存命中に何らかの形で財産の分与を受けていた場合は、その分を相続分から減じることになります。こ
  れを特別受益といいます。

  “何らかの形”というのが問題で、一応法律では、@遺贈(相続ではなく遺言による贈与)を受けた場合、A婚
  姻、養子縁組に伴う贈与を受けた場合、B生計の資本となる贈与を受けた場合
、の三点が規定されていま
  すが、「披露宴の費用は?」、「新婚旅行の費用は?」、「学費は?」と様々な問題が出てきます。
  
  一概に金額の多寡によって決めるわけにもいきません。

  例えば私立の医大と国公立の文系大学では学費に天と地ほどの開きがありますが、この事実のみを以って、「特別
  受益だ」、「いや、そうじゃない」というのは決め難いでしょう。

  また、事業用の中古の軽トラックを買ってもらったら特別受益で、遊び用の高級外車は生計の資本ではないから特
  別受益にならない、というわけにもいかないようです。

  「実状に即して」とは言いますが、問題の残るところでしょう。

特別受益の計算例
 相続財産額6000万円 配偶者 子1 子2  子2に対して1000万円の
生前贈与あり
 
 ・相続財産額の調整
   6000万円+1000万円=7000万円(調整後の相続財産額)
 ・相続額の計算
   配偶者・・・・・・・・7000万円×1/2=3500万円
     子1・・・・・・・・7000万円×1/2×1/2=1750万円
     子2・・・・・・・・7000万円×1/2×1/2=1750万円
 ・特別受益分の調整
   (子2の相続額)1750万円-1000万円(生前贈与額)=750万円
 ・相続額の確定
   配偶者・・・・・・・・3500万円
     子1・・・・・・・・1750万円
     子2・・・・・・・・750万円
 
  特別受益とは逆に、生前、被相続人の財産の形成に協力した場合には寄与分というものが認められます。
  寄与分にも法の定めがあり、@被相続人の事業に関する労務の提供または財産上の給付、A被相続人
  の療養看護、Bその他の方法、により被相続人の財産の維持又は増加につき特別に寄与した相続人

  となっています。

  ですから、共同で事業をしていてもまったくの他人ならば寄与分の計算はされませんし、子供の配偶者が一所懸命
  に療養看護に努めても、子の配偶者は相続人ではないので、寄与者にはなりえません。

  寄与分には、特別性や無償性が求められます。
  事業を手伝っていたといっても、有給で手伝っていたのでは、無償性が認められません。
  例えば自分の本当にやりたかった事を投げ打って家業を手伝い、その給料はお小遣い程度だったというのならば、
  認められる可能性は高くなるでしょう。

  また「財産上の給付」にしても配当金を受け取っていたようなら、これも無償性がなくなります。
  このように寄与分に対しては、意外に厳しい考え方が採られていることが、もめる原因となると考えられます。

寄与分の計算例
 相続財産額6000万円 配偶者 子1 子2  子1に1000万円の寄与分が
あるとする
 ・相続財産額の調整
   6000万円-1000万円=5000万円(調整後の相続財産額)
 ・相続額の計算
   配偶者・・・・・・・・5000万円×1/2=2500万円
     子1・・・・・・・・5000万円×1/2×1/2=1250万円
     子2・・・・・・・・5000万円×1/2×1/2=1250万円
 ・寄与分の調整
   (子1の相続額)1250万円+1000万円(寄与分)=2250万円
 ・相続額の確定
   配偶者・・・・・・・・2500万円
     子1・・・・・・・・2250万円
     子2・・・・・・・・1250万円


数次相続という問題
 〜相続の相続?〜


  相続が発生してから、遺産分割協議や調停など遺産分割を決定する話し合いなどをしている最中、その遺産をどうするか
  を決める前に、参加している相続人が亡くなってしまうことがあります。

  これを「数次相続」といいます。

  遺産相続がもめ続けていたり、面倒がって何も手つけなかったりするなど、遺産分割の話し合いが長期間にわたった場合
  などに、よく見られる状態です。

  この問題は実に複雑な問題です。

  遺産分割が合意する前というのは、法律的には、遺産は相続人全員で「共有」している状態になります。

  遺産分割の話し合いというのは、その「共有状態」を解消するという側面もあるのですが、遺産分割の話し合いの最中に、
  共有している当事者がなくなってしまうと、その人が持っていた「共有持分」が相続の対象になります。

  つまり、「相続人が被相続人になりそのための相続が始まる」という、私自身書いていても、ワケが分からなくなる状
  態になります。

  これは、普通に市販されている“相続本”ではほとんど触れられていない問題です。

  この場合、相続手続も一筋縄ではいきませんね。

  それでも相続人が共通しているなら、まだいいほうでしょう。

  数次相続始まってしまったために相続人の数が増えてしまった、ということになると、目も当てられない状態になります。

  この問題は、起きてしまうともう「これ」といった対策はありません。

  法に従って、複雑ではありますが粛々と手続を進めていく以外混乱を避ける方法はないと言っていいでしょう。

  そして、最も有効な予防策は、第一の相続が始まったときに、できるだけ早い段階で遺産分割の話し合いを終え、遺産
  の帰属を決定してしまうことです。

  のんびり構えていると、大変なことになってしまうかもしれませんよ……。
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