
北海道行政書士会
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遺言・相続トラブル解決のヒント
公開遺言作成という方法
公開遺言作成とは、遺言書の作成を文字通り“公開”で行おうというものです。
「遺言の作成」というよりは「遺産分割協議」を被相続人を含めて生前にやってしまおうという形に近いです。
相続人たちを前にして、被相続人が最終意思を文書に書かれた“文字”ではなく“肉声”で表明するのですから説得力
が全然違います。
また相続人のほうも、被相続人の目の前で意見を述べ合うわけですから、自分勝手な主張をしにくくなります。
そして、被相続人と相続人それぞれが意見交えてできあがった最終的な合意を、「遺言書」という法的実現力のある書
類に仕上ていく、それが「公開遺言作成」です。
この方法は、第一に被相続人の理解が必要ですね。
「生きているのに相続の話なんて、俺の財産を狙っているのか?そんなに俺に早く死んで欲しいのか!?」という、ある
種“見当違い”の怒りをあらわにする人は多いですが、「自分が死んだ後は、生きているもの同士で勝手にやってちょう
だい、後は野となれ山となれだよ」というのは、ちょっと無責任のような気がします。
遺産相続トラブルというのは、いつでも、誰にでも起こりうるものですし、自分の家族だけは例外というのは、誰にも言い
切れません。
そしてそれに対する備えをしておくというのは、家族に対する一つの責任だと考えます。
公開遺言作成は被相続人を含めた家族全員で話し合うので、合意を得やすいというメリットがあります。
また、被相続人自身の意見も表明できるので、被相続人の意思の添った分割が可能になります。
うまく使えば、遺言書と遺産分割協議をあわせたような、遺産相続を円満解決に導く武器となるのが、この方法なのです。
ただし、今まで表面化していなかった家族同士の確執が表に出てくるという可能性もあることをお忘れなく。
遺産分割協議に臨む心得
相続がもめる一番のポイントは遺産分割協議です。
利害の絡んだ相続人が顔をつき合わせて(直接会わない場合もありますが)話し合いをするわけですから、「もめるな」とい
う方が無理な話かもしれません。
しかし、それでも最終的には遺産配分を決めて、相続手続をとらなければ前には進めません。
遺産分割でもめないようにするにはどうするか?ここに、“かしこさ”という大人の対応が求められるのです。
◎幹事役を決める
遺産分割協議のもめる原因の一つには、幹事役の不在があげられます。幹事役=行司役と言ってもいいかもしれません。
相続人各人の意見を交通整理して、協議全体を取り仕切る人物を決めます。
この幹事役は、相続人の中から選んでもいいのですが、利害の対立が浮き彫りになる危険性も秘めています。
幹事役は利害関係のない(あっても希薄な)人を選ぶのがベストな選択ではありますが、どうしても相続人の中から出さな
ければならない(出したい)というときは、幹事役に選ばれた人は、自分の主張をある程度抑える覚悟が必要になってくるで
しょう。
◎相続人以外の人間に口を出させない
相続はあくまでも相続人の問題です。
もっと極端に言ってしまえば、相続人以外の人間には何の関係もない話なのです。
たまに見受けられるのが、兄弟が激しく争っているように見えて、実際にはその兄弟の配偶者同士の代理戦争になってい
る場合があります。
また歴史の古い家や親類縁者の多い家などでは「本家のおじさん」とか「分家の代表」などと言って、相続に口を出してくる
例もあります。
配偶者や周りの人の意見を求めるのは一向に構いませんが、協議の場にそういう人たちの意向が強く反映されると、相続
問題は混迷の度を深めていきます。
相続人は主体性を持って自らの相続に臨むべきでしょう。
◎時には退く勇気を持つ
相続が一旦こじれ始めると、元に戻すのは困難です。
利害の対立を出発点として感情的な対立にまで発展してしまうこともあります。
相続問題をきっかけにして、それまで仲の良かった家族がバラバラになってしまった、などという話は珍しくありません。
そうなる前に、「退く勇気」を持つようにしましょう。
あまり強硬にならず、妥協できる点では妥協する。
感情的にならずにビジネスライクに考えるというのも、相続をもめさせないための一法です。
◎一度決めたことを蒸し返さない
「隣の芝生は青い」というのは相続でも言える事です。
「自分の相続分よりアイツのほうがいいモノを貰ってる」とか「アイツの貰った土地が値上がりしそうだ」とか、自分が相続し
たものより他人が相続したものの方が良く見えたりするのです。
しかし一旦決まったことに異を唱えることは避けましょう。
そうしないと収拾がつかなくなり、いつまで経っても紛糾したまま、ということにもなりかねません。
◎頑なになり過ぎない
実はこれが一番重要なことかもしれません。
相続の相談を受けていて、もっともよく聞く言葉が「納得できません!」という言葉です。
感情的に納得できないこともありますし、法律が定めていることそのものに納得できない、というケースもあります。
たいていの場合は、「納得できない」という相手方に対しての、感情的な部分が多くを占めているようです。
そしてそれは、しばしば相手方への“人格攻撃”という形ででてきます。
私自身、相談の中でそういう“人格攻撃”をよく聞きます。
相手方がどれだけひどい人間であるか、ということを色々と並べ立てるのですが、現実的な話をすれば、このことは
それほど意味はありません。
どんなにひどい人間であろうと、逆にどんなにやさしくて人格的に優れた人であろうとも、遺留分や特別受益、寄与分と
いった、遺産相続をめぐる様々な権利・義務から免れるわけではありませんし、遺産相続に関する法律を無視して良い
わけでもありません。
この点については法律は非常に“シビア”です。
しかしながら、相続に関する法律は“ガチガチ”ではありません。
話し合いで解決できる余地も充分に残されています。
法的に間違っているということに対して「納得できません!」という場合を別にすれば、感情的な対立や頑なになって、相手方の人格に対して攻撃することはやめて、迅速に相続手続を進めていくことが、相続をもめさせないための対策、といえるでしょう。 |
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