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●550万円
550万円…。
なんの数字(金額)かというと、祭祀財産の評価額。
公正証書遺言を作成するときは、相続財産のおよその金額を算定する必要がある。
公証人手数料を算出するために。
逆に言ってしまうと、このときに算定した数字は、公証人手数料の算出以外にはあま
り影響を及ぼさないものでもある……(相続分や遺産分割の指定にも使うから一概に
そうといえない部分もあるけどね)。
んで、550万円。
土地というのは「一物四価(または“五価”という場合もある)」といって、一つの土地に対
して値段が幾つもあるんだけれど、まぁ基準があるから算出しやすい。
建物は固定資産税評価額だしね。
預貯金はそのものズバリの金額だし、債権や有価証券なんかも評価の仕方は決まって
いる。
営業権とか特許権とかそういった無体財産権なんかは、ちょっと…いやかなり厄介だけ
ど、一般の人でそういうのを持っている人はあまりいないしね。
だいたいパッと値段の出ない財産というのは、あまりないのである。
ところが一般の人が持っている財産の中で唯一値段の算定のしようがない財産、それ
が祭祀財産なんだね。
祭祀財産…代表的なところでは墓所、墓石、仏壇、仏具…まあ、宗教や地域、家の慣
習によって多少異なるところはあるだろうけど、そんなとこだろうか。
これらをひっくるめていくらに算定するか、というときに出てくるのが550万円という金
額なわけだ。
実際のところどうなんだろうね?
墓所、墓石、仏壇、仏具、全部ひっくるめて単純に値段を算出したら、一般的なものなら
200万からせいぜい300万円ぐらいじゃない?
御位牌とかそういう細かいものを含めたり供養料とかそういったものを含めるといいとこ
なのかな?
祭祀を承継する人は、この分だけ多く財産を相続することになる……理屈ではね。
だけどさ、祭祀財産なんて換金性が低い……というか、換金性なんかゼロだろう。
逆に祭祀主宰者になってしまうと、一周忌、三回忌、七回忌、十三回忌、二十三回忌、
三十三回忌といった法事のたびに、それなりの“かかり”が出て行くわけだし、祭祀財産
の維持費なんかもかかるわけだ。
祭祀財産を承継するということは逆に将来的に“損”をこうむる可能性もあるんだよね。
だから祭祀財産を承継する人には、「少し厚く相続させてはいかがですか?」と、遺言者
にアドバイスすることもある。
評価額550万円(ただし換金性ナシ)の財産分与。
果たして高いか安いか……。
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